ははごころの末安美子さん
福岡県中間市で、手づくり漬物「ははごころ」を営む末安美子さん。
材料選びから仕込み、販売までをすべて一人で行い、母から受け継いだ味を大切に守り続けています。
看板商品の「あまじょっぱ」は、宮崎県産の寒干大根を使った、甘さと塩味のバランスが心地よい逸品。
口に入れた瞬間、どこか懐かしく、ほっとする味わいです。
「食卓に自然と並ぶ存在でありたい」という想いのもと、一つひとつ心を込めて作られる漬物には、母の記憶と、今を生きる末安さんの優しさがそっと詰まっています。
ははごころの特徴
✔材料選びから漬け込み・販売まで、すべて一人で手がける“顔の見える漬物”
✔母の手書きメモから受け継いだ味を、忠実に再現。懐かしさと温度を、そのまま食卓に
✔宮崎県産・寒干大根を使用した、歯ごたえと甘じょっぱさの絶妙なバランス
✔仕込みの時間そのものを大切にする、想い重視のものづくり
✔手づくりだからこそ起こる“個体差”も、正直に伝える誠実さ
✔派手さより、毎日の食卓に自然と並ぶ存在を目指している
インタビューはここから
こんにちは。
色々お話を聞かせてください。
こんにちは。
どうぞよろしくお願いいたします。
末安さんはどんなお仕事をされているんですか?
福岡県中間市で、手づくり漬物「ははごころ」を営んでいます。
材料の仕入れから漬け込み、販売まで、すべてを一人で行っています。
最初から最後まで全部お一人で、なんですね。
どんな漬物を作っているんですか?
宮崎県産の寒干大根を、甘めの醤油だれに漬け込んだ、その名も「あまじょっぱ」という漬物を中心に作っています。
大根の歯ごたえと、甘味と塩味のバランスが絶妙な味わいです。
名前だけで、もう味が想像できますね。
実際に作る中で、末安さんが一番大切にしている事は何ですか?
仕込んでいる時間そのものです。
「どんな方が食べてくれるかな」「母の想いよ、届けー!」そんなことを考える時間が、私にとって一番大切な時間です。

母の味をそのまま伝えたくて、材料はできるだけ同じものを選び、分量や作り方も、母が作っていた頃と同じように心がけています。
「同じように心がける」って、簡単そうで一番難しいですよね。
味の特徴としては、どんなところを感じてほしいですか?
特別な味というより、食べたときに「ほっとする」「また食べたくなる」、懐かしい気持ちになっていただけるところだと思っています。
毎日の食卓に自然とある、という感じですね。
母が私たち家族を想って作ってくれていたように、食卓にいつも並び、笑顔にしてくれるような存在でありたいと思っています。
一つひとつ、心を込めて丁寧に届けていきたいです。

実際に食べた方からは、どんな声が多いですか?
「めっちゃ美味しい」「お酒に合う」
そんな声をよくいただきます。
それは嬉しいですね。
逆に、作る側として難しさを感じる部分はありますか?
悩みというほどではありませんが、漬け汁は同じでも、大根の個体差により味わいに違いが出ることがあります。
その点は丁寧にお伝えしていきたいと考えています。
手づくりならでは、ですね。
その正直さが、逆に安心感にもつながる気がします。

漬け物づくりを始めたきっかけ
末安さんが漬け物づくりを始めたきっかけについて教えてください。
きっかけは、コロナ禍が始まった2020年頃です。
外出が制限され、人と会うことが当たり前ではなくなり、世の中全体がどこか不安に包まれていた時期でした。
本当に、先が見えない時期でしたよね。
その頃、母の認知症が少しずつ進み始めていることを、私たち家族もはっきりと実感するようになりました。
「今まで当たり前だったことが、当たり前じゃなくなる」
そんな現実を前にして、私は自然と「仕事よりも、もっと家族との時間を大切にしたい」と思うようになっていきました。
環境の変化と、お母さまの変化が、重なった時期だったんですね。
母は昔から漬物づくりが得意で、冬になると当たり前のように台所に立ち、黙々と手を動かしていました。
けれど、ある日を境に「疲れたから作りたくない」と言うようになり、漬物づくりから離れていきました。
それはキツいですね。
そのとき、父も私も強く感じたのは、母の漬物がもう食べられないかもしれない、という寂しさでした。
ただの漬物なのに、そこには母の手、母の時間、母の暮らしそのものが詰まっていたのだと、失ってから気づかされたのです。
ただの漬物じゃなかった、ということですよね。
母の荷物を整理していたある日、一枚の小さな走り書きのメモを見つけました。
そこには漬物の材料の分量が書かれていて、端には「令和2年12月(2020年12月)」という日付がありました。
母自身も、「忘れてしまうかもしれない」
そんな不安を感じながら、必死に書き残した紙切れだったのだと思います。
なるほど。
そのメモから…
はい。
そのメモを頼りに、冬を待って漬物を仕込んでみました。
けれど、出来上がった漬物を口にした瞬間、父と顔を見合わせてしまいました。
「あ、母の味だ」
確かにそこに、母の漬物の記憶がありました。
母の荷物の中から見つけた、たった一枚のメモ。
それが、今の漬物づくりの原点です。
すべての始まり、ですね。
同じ味に仕上がったとき、私の中に強い想いが生まれました。
「この味を消したくない」
「できるなら、全国の方に母の味を知ってもらいたい」
その気持ちだけで、ほとんど無計画のまま動き出してしまいました。
それでもママ友や仲間、そして何より家族が背中を押してくれました。
その支えがあったからこそ、今こうしてお店を続けることができています。感謝の気持ちでいっぱいです。
ある意味、一人で始めたけど、一人じゃなかった感じですね。
このお店と、商品の「あまじょっぱ」は、私にとって母そのものです。
母の優しさ、強さ、不器用さ、そして家庭の味。
すべてが詰まっているように感じています。
だから、食べる人にも温度が伝わるんだと思います。
今思えば、あの頃の私は本当に無謀でした(笑)。
それでも、あの一歩があったからこそ、今があります。

今後の目標
これから先については、どんなことを考えていますか?
母の想いはそのままに、これからは私自身が感じている「あまじょっぱ」の味も、少しずつ出してみたいな、と思うようになりました。
大きく変えるのではなく、これまでの味を大切にしながら、丁寧に続けていけたらと思っています。
受け継ぎながら、少しずつ育てていく感じですね。

最後に
最後に、このインタビューを読んでくれた方に何か一言お願いします。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
母の味と一緒に、今日の食卓にそっと並べていただけたら嬉しいです。
末安美子さんのプロフィール

| 1994年 | 福岡県立大里高等学校 卒業 |
| 1996年 | 医療秘書系の専門学校を卒業 資格を取り、「準備は整った(はず)」と思う |
| 1997年 | 医療事務ではない道を選び、一般企業に就職 人を支える仕事に、じわじわ手応えを感じ始める |
| 2009年 | 妊活に専念するため退職を決意 退職日に、まさかの妊娠発覚 |
| 2011年〜 | 子ども優先で、パート・派遣・正社員など、その時々に合った働き方を選ぶ |
| 2020年 | 母の認知症が進む 家族と向き合う時間が増える 一枚の手書きのメモと出会う |
| 2022年 | 子どもと母に時間をかけるため退職 |
| 2023年 | 10月 手づくり漬物 「ははごころ」 をスタート |
| 2024年 | 試行錯誤しながら事業を継続中 「継続は力なり」と信じている |
| 2025年 | 新商品 「でかにんくじょーゆ」 をクラウドファンディングより販売 |
ははごころの特徴
✔材料選びから漬け込み・販売まで、すべて一人で手がける“顔の見える漬物”
✔母の手書きメモから受け継いだ味を、忠実に再現。懐かしさと温度を、そのまま食卓に
✔宮崎県産・寒干大根を使用した、歯ごたえと甘じょっぱさの絶妙なバランス
✔仕込みの時間そのものを大切にする、想い重視のものづくり
✔手づくりだからこそ起こる“個体差”も、正直に伝える誠実さ
✔派手さより、毎日の食卓に自然と並ぶ存在を目指している
